日々、治療雑感


均整法、長野式、オステオパシーを学び開業している一治療家の雑感
by kaiondo102
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技(経穴)は効くものでなく効かせるもの 5

半年以上前のことでしたが、勉強会の時に右踵骨痛を訴える仲間がおりました。ちょうどその時、私もクラシカルの講師をこれからしなければならないので、ルーティンだけで踵の痛みがどこまで良くなるかやらせてもらいました。

しかし、今回はさーっとルーティンやって終わり、ではなくてまずしっかりと確認をしていきました。施術の前に仰向けになったときにまず踵の圧痛を押さえ痛みを感じてもらいました。次に踵はアキレス腱にくっついていますのでアキレス腱を摘まみました。すると「ぎゃっ」と両方ともものすごい痛がります。足首を背屈、SLRをするとハムストリングスからふくらはぎまで硬さを感じるそうです。あと確か踵の痛みは長野先生曰く免疫の低下なので、右の下腹部の圧痛も確認しました。

そうしたらあとはくるくるを始めます。右足をくるくる、右腕をゆさぶって、左足をくるくる、左腕をゆさぶって、と必ず合間合間に足首を動かしてもらったり、SLRで足を上げてもらいました。すると一か所終わるたびに少しずつですが確実に動きが良くなってきます。右下腹部も緩んできます。背中をゆさぶって立ってもらったら、確か踵を全く触らなくても4割くらいいなったのかな。もう一度仰向けでクラシカルの身体力学を応用して後頭下をもう一度抑制するとさらに右足首の動きが改善して、座ってもらって座位で背骨を調整すると、それだけで患部を全く触らなくても最終的には痛みは1~2割まで減ったことがありました。

ツボでもオステオパシー的な手技でもどうやら患部の痛みや動きを確認しながら施術を行うと、どうやらその部位に身体に入力された施術の刺激が向かうような感じがします。もし全く確認しなければ、患部の状態はあまり変わらず、だけど身体はすごい楽になった、という感じになるような気もします。

ではこの確認することによって、どうして治療の刺激が患部に向かっていくのでしょうか。ここからは私の聞きかじっただけの知識を元にした妄想でありますので、話半分以下に聞いてやってください。

20代のころに仲の良かった女の子からある本を紹介されたことがあります。フリチョフカプラ、という理論物理学者が書いた「タオ物理学」という本でした。その女の子は20代前半でアメリカに一年ほど留学して、あちらでこの本に出合ったそうです。この本の内容は物理学で最先端を走る量子力学で分かってきたことが、実は仏教やヒンズー教、道教をはじめとする東洋の宗教的叡智と非常に似ているというものでした。その本は貸してもらっただけなので当時は触りしか読んでおりませんでしたが、物理や化学などの理数系を全くの苦手とする私でも非常に興味をそそられたものでしたが、それっきりとなってしまいました。

治療の道に入って十数年たった40代半ばくらいでしょうか、どのようにしてこれから上達していけばよいのか全く見当がつかなくなって、もがいていたことがありました。正直もう新しい技術を学ぶ気はしませんでした。新しい技術を学んでも私の場合にはそれが使いこなせるようになるためには相当やりこまなければなりません。それよりも今持っている技術である誇張法や長野式の経絡操作、そしてクラシカルと均整を深めていった方がよっぽど近道であるような気がしました。

ですがどうやって深めたらよいのでしょうか?そのヒントを求めて治療とはあまり関係ない本を読んでみました。解剖生理学の本はやはり自分には無理なようです。そこで変わりといってはなんですが、仏教や神道、カウンセリング、ユング心理学、特に仏教の中でも禅に関する本をいろいろと読みました。また岡潔という数学者でありながら哲学者のような大先生の本もわからないながらなんとか読んでみました。

そんなあまり治療とは関係のない宗教的な本を読んでいるとふと、その昔興味をもった「タオ自然学」とい本のことを思い出しました。その本の原書を購入して読み始めるのと同時に、日本語でも量子力学が誰でもわかるように書かれた本を何冊か読んでみました。本の宣伝文句には「誰でわかる」的なことは書いてありましたが、それでも難しいです。ただ、物理学の発展が中世のヨーロッパでキリスト教にがんじがらめになっていたのが、だんだんガリレオやデカルトがその礎となり、それからニュートンが出てきて爆発的に発展し、さらにはアインシュタインから量子力学への歴史は大変興味深いものがありました。



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# by kaiondo102 | 2017-04-22 00:09 | 臨床雑記 | Trackback | Comments(0)

技(経穴)は効くものでなく効かせるもの 4

意外とパソコンを再度購入することはそう手間のかかることではなく、すぐに新しいものを手に入れることが出来ました。ネットって本当に便利です。またブログを再開させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

前回までは確認の効用をまずツボという観点から考えてみました。私の個人的な考えではこの確認する、つまり一度可動性や圧痛や感覚を確かめることによって、ツボの作用がその確認した部位へ非常にダイレクトに作用しやすいのではないかと思っております。実はこれはオステオパシーや整体でも同様なのかもしれません。

こんなことを書いてクラシカルオステオパシーの皆様に怒られてしまうかもしれませんが、クラシカルを断念してしまう先生のお話を伺いますと、クラシカルでは治療の効果が良くわからないということにあります。つまり特に即効性を感じられないということです。確かにそうかもしれません。手足をくるくるして背中をゆらゆらさせて出来る人はちょっとだけ背骨をボキボキして終わりです。今の理事の先生のようにかなり他の手技やモダンオステオパシーを学んできた方にはビビッとくるものがありますが、私もそうでしたように今一つどこが良いのかわからない先生も非常に多いようです。いってみれば玄人好みの治療法の一つであります。

ルーティンをやったからといって身体は確かにすっきりした感じはするけれど、その場で腰の痛みや肩こり、膝や股関節の痛みが取れるということはほとんどありません。以前、私のところに坐骨神経痛でクラシカルオステオパシーの大家(外国の先生)の治療を数回受けたけど全然症状は変化しなかった方が来られたことがありました。その方は腰方形筋の凝りがものすごく、そこを緩めてあげたらその場で坐骨神経痛の痛みが無くなり、それから私の知る限り一年は症状が出ておりません。誤解しないでくださいね、クラシカルがダメで私が凄いといっているのではありませんよ!!!それどころか私は今ようやくクラシカルLOVEですから!!

これは途中で書けなくなってしまった全身治療と局所治療のテーマにも関係するのですが、本来であれば様々な症状というのは全身の乱れがある局所に顕在化したものであるため、全身を治療すればその顕れた局所の症状は消えていくはずです。ですからクラシカルのルーティンで身体の乱れが整えば理論的には必ずその坐骨神経痛の症状も軽減するあるいは変化するはずです。ルーティンの中で背骨と肋骨、骨盤を整えれば腰方形筋のその強い凝りがとれても良いはずです。ですが実際はそうではありませんでした。何故なのでしょうか?

以前もその全身治療と局所治療の中で書きましたが、私も経絡治療の流れをくむ全身治療の創始者の鍼の先生のところに手のアトピーを治したくて通ったことがありましたが、確かに身体の状態はよくなりました(身体の冷えがとれました)が困っていた手のアトピーにはまったくの変化がありませんでした。

この何故ということが私はずっと謎でしたが、確認するということでこの謎がようやく自分の中で解けてきたのと、なぜ確認することが局所の症状にとって大事なのか、その妄想的理論背景が浮かび上がってくるのです。






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# by kaiondo102 | 2017-04-17 02:13 | 臨床雑記 | Trackback | Comments(0)

しばらく更新いたしません

海外へ行く準備があったり、実際に一週間イギリス、アイルランドに行ってきたりで全然ブログを書いておりませんでした。帰国後久しぶりに更新しようとパソコンを開きましたが、本格的に壊れてしまったようです。

沢山の方にご訪問いただきながら、申し訳ありません。また新しくパソコンを購入するまでしばらく更新は控えさせて下さい。



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# by kaiondo102 | 2017-04-11 00:18 | Trackback | Comments(2)

経穴(技)は効くものでなく効かせるもの 3

かれこれ十数年、ツボを施術に取り入れてからずっと疑問であったのが、その作用の限局性でした。どういうことかともうしますと、たとえばお腹の瘀血の反応をとりたいとします。長野式ではその反応点は左の天枢、外陵、大巨になります。そこでまず私は天枢の圧痛を片手で確認します。次に中封を探してここかなというところに指を当て、しばらくそこを刺激します。すると天枢の圧痛が上手くいけばとれてくれます。次に同じような手法で外陵の圧痛をとり、大巨の圧痛を一個ずつとっていきます。本当だったら中封を押さえれば天枢、外陵、大巨すべての圧痛が一度でとれても良いはずです。しかし実際には一つの圧痛が無くなっても、2つ目の圧痛はまだまだ元気です。2個目の圧痛をとっても3個目の圧痛はまだ健在でした。

ですが、松本先生や鶴崎先生の長野式のセミナーで治療風景を拝見させていただくと、先生方は中封に刺鍼を一回するだけで、天枢、大巨、外陵の圧痛をそれだけでとってしまいます。それだけでなくうまく作用すれば他の部分の反応までとることができます。手でやる私は圧痛や反応を一個ずつしか消していくことが出来ません。しかし鍼の作用はものすごい広範囲に渡ります。これがツボを手で操作したときと鍼で治療したときの差であり、鍼の方が手よりツボへの作用は圧倒的に大きいと今まで思っておりました。

しかし、最近施術前や技を施す前の確認作業が大事なのかも、と思って改めてその鍼の治療を思い返しますと、長野式のセミナーでは身体に鍼を入れる前にまず全身の圧痛を確認していきます。全身の反応点を指で押さえ、その圧痛を確認してからそこにシールを貼ります。つまり確認作業は治療前にすべて行われているということになります。

そこで一度実験的に瘀血の圧痛をとるときに、それぞれのツボの圧痛を一個ずつ確認して一個ずつその圧痛を消していくのではなく、まず3個全部圧痛を確認してから、天枢の圧痛をとれる中封を押さえ、手のひら全体を腹部瘀血の反応点に載せ、しばらくしてからその反応点の圧痛を確認してみました。すると不思議なことに3点すべての圧痛が無くなっていることがあったり、あるいは大幅に軽減していました。つまりツボの作用というのは確認をしたところにまず真っ直ぐに向かっていくのかもしれません。

ツボにはそれぞれ様々な作用があります。たとえば臂臑という大腸経のツボがありますが、深谷先生はそれを目やのどに効果のあるツボとしました。澤田流ではちなみにここは腕の痛みの治療点だったと思いますがそこまで多用されるツボではありませんでした。ではこのツボを使う時、目に効果を出したいとき、喉に、あるいは腕に効果を出したいときはどうすればよいのでしょうか。はたしてここが臂臑という場所に鍼をして指で押さえれば自然にそのツボは治療したい部位に作用するのでしょうか。もちろんするかもしれません、しかし本当は喉を治療したかったのにその作用は目にいったり腕にいったりしてしまうことも考えられます。ではどのようにその作用を喉にフォーカスしたらよいのでしょうか。それは確認することではないでしょうか。患者さんにつばを飲み込んでもらったり、あるいは術者が喉仏を左右に動かしてもよいでしょう。その状態で一度違和感や痛みを確認して、次に臂臑を押さえ、もう一度つばを飲み込んでもらったり、喉仏を左右に動かします。それで痛みが軽減、あるいは無くなればそこがその患者さんの臂臑の場所であり、臂臑の効果が喉に届いたことになるのかもしれません。あとはそこに鍼をしてもお灸をしても、あるいは私のようにぎゅっと押さえて患者さんを痛がらせても構いません。眼に臂臑の作用を届けたければ、目の周りの圧痛点を押さえてもよいでしょうし、腕の痛みにアプローチしたいときは腕を動かさせて臂臑を押さえてみても良いと思います。

ツボだけではありません。手技においても確認作業を行うことによって効果的にその技の作用が治療したい部位に届く気がして最近なりません。

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# by kaiondo102 | 2017-03-24 00:58 | 未分類 | Trackback | Comments(0)

経穴(技)は効くものでなく効かせるもの 2

前回も書かせていただきましたが、クラシカルオステオパシーの背中の操作で膝と首の痛み、頭の指圧で足の親指の捻挫、肩鎖関節の調整でSLRの痛みや可動範囲がそれぞれたったそれだけで随分軽減しました。とはいえ私が別に名人であるからこういうことが出来るわけではありません、ということも前回申し上げました。このようにある部位を施術して遠隔の場所に効かせるには一工程が必要となり、それをやるからこそ効果が出るのではないか、という感じが最近しております。

ではそのひと手間とは何かと申しますと簡単です。確認することだけであります。

例えばクラシカルのデモでは膝の痛い先生にまず立位でどういう体勢で痛みを感じるか実際その場でやってもらい、次にうつ伏せになってもらった時にすぐ痛みのある膝を屈曲してどこまで曲げたら痛みが出るか確認しました。痛かったのは右ひざでしたが、膝を屈曲すると右仙腸関節に痛みが出る、とまずおっしゃっていました。

そのままデモを始めました。クラシカルのうつ伏せは左側から始めます。左の足をくるくるして仙腸関節を調整し、背骨をゆさぶります。左腕を回旋しながら胸椎の調整をし、またもう一度背骨を揺さぶったと思います。多分ここまでで1~2分です。左側を終えた所でここで右足の屈曲具合を確認します。ぐっと押さえるとさっきよりスムーズにまがり右仙腸関節の痛みも随分減ったそうです。

次は右半身の施術です。同じように右足をくるくるして仙腸関節の調整、背骨を揺さぶり、右腕をくるくる、そしてもう一度背骨を揺さぶり。そこでもう一度右足を屈曲するとかなりスムーズに曲げられます。それから立ってもらい痛みの出る体勢をとってもらいます。するとさっきより全然楽となりました。

首の先生はまず座位で首を前後左右回旋してもらいます。すると上を向いたときに一番痛みが出ることを確認します。それで同様に左半身から調整、首ですから途中で確認出来ませんので引き続き右半身の調整。そこでまた同様に座ってもらい上を向いてもらうと「さっきよりらく」。

クラシカルの頭蓋で右足の親指の捻挫の痛みが軽減したときは、実は二人掛りで施術しておりました。一人が右足の親指を把持しながら軽く動かします。すると「痛い」。私が眉間から頭頂に向けて指圧を始めます。一押しするたびに右足を操作している仲間が軽く親指を動かします。一押し、確認を続けていくと確か前頭部の髪の生え際でふっと少しだけ痛みが楽になったそうです。そのまま通常通り百会まで指圧を続けます。するとどんどん右足の親指が緩んでくるそうです。そこから数回頭頂までの指圧を何回か続けましたが、その間右足を把持している仲間はどんどん親指が緩むのが感じられ、どんどん動かせるようになってきました。

肩鎖関節でSLRが改善したときはクラシカルのデモの時と同じ様にまずSLRでどこまで上がるか確認しました。それから肩鎖関節を調整、動きが良くなったかなというところでもう一度SLRをするとあら不思議、すっと足が楽にあがります。

最近思うのですが、この確認作業というひと手間が非常に施術の中で重要なプロセスになってくる感じがします。長野式の長野潔先生は鍼をするたびに脈を確認したり、またある場所(確か章門)を刺鍼してうまく効果が出なかった時に、扁桃の圧痛を確認してその圧痛が減っていなかったのでもう一度章門を探り刺鍼しなおし、もう一度確認したらその圧痛がとれていたので、しばらくその場所の章門を雀啄していたという治療風景のビデオを見たことがあります。

長野式を継承した松本先生はクロスパルペーションといって、経穴を探すために一度ターゲットとなる部位を押圧、圧痛を確認し、その押圧をゆるめ今度は治療穴を指で押さえ、そのままの状態でもう一度ターゲットの圧痛が緩むか確認、その圧痛が緩めばその場所に鍼をし、さらにもう一度鍼が正しい位置に刺されているか確認するためにもう一度そのターゲットを押さえます。ここで圧痛がとれていればそれで良し、次にいきますがもしとれていなければしばらく鍼を雀啄し、もう一度圧痛を確認します。それでまったく圧痛に変化がなければ正しい位置に鍼が刺されていないということで、またやり直します。

均整法でも保護圧という概念があります。たとえば腰痛で前屈が出来ない患者さんがいるとします。均整では前屈が出来ない場合はD1,5,9,L1,5のどれかにトラブルがあると考えます。治療ポイントは背骨の2側(膀胱系2行線のところ)ですので、それぞれの椎骨の2側を押さえながらゆっくり前屈してもらいます。もっとも効果的な治療ポイントに指を当てますとあら不思議、軽い前屈痛でありましたら、それだけですーっと前屈出来るようになります。そしてそこが治療点となってきます。

私は自分の手や目の感覚に全く自信がありませんでしたし、今でもありません。ですから長野式を学んだあたりからこの確認作業をいうのをずーっとやってきました。患者さんの痛そうな部分やターゲットとなる経穴、痛みの出る動きをしてもらい患者さんに痛いか痛くないか伺い、経穴を押さえたり調整をしたらもう一度その痛みや動きがどう変化するか確認しておりました。それこそ患者さんがウトウトする暇も無いくらい「ここ痛い、今どう、今は、まだ痛い、痛くなくなった」と逐一確認しておりました。毎回毎回施術の時間中痛いか痛くないか聞かれるのが嫌になって来院されなくなった方も沢山いらっしゃると思います。

今では随分「どう?」と聞くことは減ってきましたが、肝心な所はまだ必ず聞きます。

確かに「どう?」と伺って「変わりません、痛いです」と言われると正直凹むことも多々ありましたが、この確認作業真面目にやることこそが私のように感覚や才能が全く無い人間が患者さんの身体を何とか理解できるようになる方法であると同時に、一つの技や経穴をどこか遠隔の部位に効かせる場合の方向性を誘導する際に必要になってくる気がするのです。

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# by kaiondo102 | 2017-03-08 01:36 | 臨床雑記 | Trackback | Comments(0)

経穴(技)は効くものでなく効かせるもの 1

深谷灸の深谷伊三郎先生は「経穴は効くものではなく効かせるもの」という言葉を残されました。私はその意味がずーっとわからなかったのですが、最近ようやくそういうことなのかも、と自分なりに感じることがありました。

① クラシカルオステオパシーの講習のことです。1月から大井町で日本クラシカルオステオパシー協会主催のファンデーションコースが始まり、私もその中で数回講義を担当させていただきます。計10回のコースですが私は2回目と4回目の講義および実技を今までやらせていただきました。

クラシカルオステオパシーにはトータルボディアジャストメントと呼ばれるだいたい20分くらいで全身を調整できるルーティンがその技法の中心となっています。1回目と2回目で仰向けの状態、3回目は頸椎、そして4回目はうつ伏せの技法を練習します。そして5回目で横向きと仰向けの技法で終わるという流れになります。

4回目の私の担当はうつ伏せでのルーティン技法です。うつ伏せでは下肢を回旋させながら骨盤の調整、骨盤を揺さぶりながら背骨へのオシレーション技法、上肢を回旋させながら胸椎の調整という感じで成り立っております。受講生のみんなで練習する前に私が簡単にデモをいたしました。一人目はうつ伏せの全体的な流れをお見せして、2人目と3人目のデモはスタッフでありますが膝と首の動きの悪い先生を簡単に施術させていただきました。

技法の効果を見ていただきたいので、ものの数分でデモを終わらせました。ですがたったそれだけで膝の痛みは本人申告で10から2(本当はたぶん4)、首の痛みは10から4に痛みが減りました。

② 先日仲間内での勉強会の時のこと、その一人が格闘技の練習で右足の拇指を捻挫していておりました。その指を屈曲しようとするだけで痛みが強く恐怖を感じるそうです。そこで恐怖は扁桃体、だから頭をやってみたらどうだろう??ということでクラシカルの頭蓋技法を行ってみました。頭蓋技法といってもそんなに複雑なものではありません。ただ正中線上を眉間から百会まで指圧していくものです。ある有名な鍼灸師の先生が扁桃体の治療といって眉間の少し上にお灸をしていたのを見たことがあります。お灸で扁桃体にアプローチできるなら指圧でもなんとかなるはずです。

眉間から私が拇指で圧迫を加えていきます。するとちょうど髪の毛の生え際のあたりで少し拇指の痛みが軽くなってくるそうです。百会まで圧迫をしていきます。するとまたさらに拇指の捻挫の痛みが引いていきます。3~4回眉間から百会までの圧迫を繰り替えしたでしょうか、そのころには初めあれだけ痛くて怖がっていた足の親指は随分抵抗なく痛み無く動かせるようになってきました。

③ 今度は私が教えている勉強会でのこと。肩鎖関節の練習をしたいとのことなので練習しました。肩鎖関節は誇張法の創始者斉藤先生は四十肩にはこれだけで治すという非常に重要な部位の治療になります。肩鎖関節が上手く操作できると肩の動きは勿論改善するだけでなく手の親指や人差し指の痛み、下の歯の痛みに効果があります。それ以外にどこに効果があるかなと考えSLRをやってもらいました。

肩鎖関節はちょうど大腸経にあたります。大腸経はL4にある大腸兪という募穴と関係します。均整法ではSLRの上がらないのはL4の障害と確か考えていたと思います。そこで肩鎖関節の調整をする前にSLRをしてもらい、肩鎖関節の調整が終わったところでもう一度SLRをしてもらうとあら不思議、同側の足がスムーズに上がります。


背骨を軽く揺さぶるだけで肩と首の動きが、頭部への圧迫によってまったく離れた右足の親指の痛みが、肩鎖関節の調整でSLRの動きがそれぞれ改善しました。痛い局所に触らずに離れた所から施術する、非常にオステオパシー的であり東洋医学的な全身の不思議な繋がりを利用した操作です。

上記の3例は別に私が名人なわけでも教え方が上手な訳でもありません。たった一つ、技を効かせる簡単なコツがあるような気がします。

私の施術を見たことのある人なら「なーんだ」というとてもシンプルなひと手間であります。一体それは何でしょう?




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# by kaiondo102 | 2017-03-02 00:27 | 臨床雑記 | Trackback | Comments(0)

回り道

中学校3年生の女の子、結構バレエを真剣にやっているとのこと。三日前に学校の長距離走で左の足首を捻挫したのでそのバレエの先生に連れられて来院。歩いていても痛く、バレエのあるポーズをするととても痛いそうです。

通常通り骨盤と背骨を調整、それで立ってもらいポーズをとってもらうと「さっきよりらく」。仰向けで足首を動かしてもらうと背屈底屈両方とも痛いので骨盤、帯脈、左右の肩を調整、もう一度足首を動かしてもらうと背屈はらくだけど底屈はまだ痛むとのこと。私が左足のつま先を持って内側にひねるとやはり痛みます。特に痛みを感じるのはくるぶしの少し上とのことなので、そこを私が握ってみると痛みます。

左の足首は平田氏十二肢帯では肝臓、均整では胃になりますので、まず難経十六難の肝の反応点である左下腹部に手を当てます。すると「少し痛い」。胃ではどうかなと思い同じく十六難の脾の反応点であるおへそ少し上にかけて手を当てると「痛くない」。ということでしばらくその状態をキープして、良いかなと思ったところでもう一度足首を握ると「痛くない」。左膝も捻じれていたので誇張法で調整、立ってもらいました。すると「楽」。バレエのポーズをしてもらうと「しっかりはまって良い感じ」。ジャンプしてもらうとまだ少し痛むとのことなので、座位で凸凹をしてもう一度ジャンプしてもらうと「痛くない」。

五十代の女性の右の四十肩。今までな4回ほど施術しておりますが、施術直後は楽になりますがまた次の来院時には1~2割減で来院。今回もまだ万歳と肘を直角にして外に倒すと小腸経と三焦経ラインが痛みます。

右肩甲骨回りの凝りをとり、もう一度右腕を万歳と外に倒してもらうと三焦経の痛みは消えましたが、小腸経の痛みは残ります。小腸経の三角筋部をぐっと押さえてみるとかなり痛みます。そこで小腸経の募穴の関元の上に手を載せもういちどその三角筋を押さえると「痛くない」。しばらく関元に手を載せ、もう一度腕をうごかしてもらうと万歳の痛みは無くなりましたが、外に倒すときまだ痛みます。関元に手を載せながら手を外に倒してもらってもまだ痛みます。こういう時は心包経が邪魔していることが多いので、上腕の内側の心包経ラインを押さえると痛みます。心包系の表裏の三焦経の募穴、石門に手を載せるとその上腕の内側の圧痛が消えます。しばらく石門に手を載せもう一度手を外に開いてもらうと「痛くない」。その場では痛みがとれました。

背中はどうかなと思ってやってみました。50代半ばの女性、肩が凝るとのこと。ちょうど僧帽筋の肩井の所が一番凝るそうです。肩井の圧痛を確認、長野式では肩井の圧痛は脾経の陰陵泉でとります。ということで背中の脾エリアであるD11,12に手を載せもう一度肩井の圧痛を確認すると「痛くない」。しばらくそのままでキープ、もう一度肩井の圧痛を確認すると圧痛は無くなりました。

中学校2年生の男の子、陸上部の練習で足が痛くなったとのことで来院。左右の大腿部後面、ハムストリングがばーんと張って歩くのがつらいそうです。特に左が痛いとのこと。大腿部後面は膀胱系ですから、膀胱系の兪穴であるS2に手を載せるか、相克の関係にある脾に手を載せるか考え、とりあえず脾のエリアであるD11,12に手を載せもう一度ハムストリングを押さえると「痛くない」。左右同じように行うとハムストリングの圧痛は無くなりました。

立って歩いてもらうとまだ違和感を感じます。そこで座ってもらい凸凹調整。もう一度歩いてもらうと「痛くない」。

お腹だけでなく背中も手のひら療法が使えそうです。

私が均整を学んだ時、均整では経絡は経穴にこだわらず点でとらえるのではなく、線でとらえるというように学びました。そんないい加減な方法がどうしても納得いかず、経穴の位置を体感するために長野式を学び正確な取穴を今までずっと心がけておりました。ですがこのところ指を捻ることで経絡にアプローチしたり、厳密に経穴をとらなくても手の平を当てるだけで効果が出ることを確認しました。ずっと自分が十数年追い求めてきたことは、実は一番初めに学んだ均整においてすでに答えが提示されておりました。ただそれを理解する能力が無かった為、とても大きな回り道をしてしまいました。

とても楽しい回り道ではありましたが、やはり素直が一番だなと50歳を目の前にして悟らされてしまいました。

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# by kaiondo102 | 2017-02-08 00:48 | 臨床雑記 | Trackback | Comments(2)

もうちょっとお腹

最近ふとしたきっかけで始めた手のひらお腹療法。意外と効果的なので色々な人に試しております。とはいえ私の施術所には身体の痛みだけでいらっしゃる方はあまり多くないので、全員には出来ません。

高校二年生の女の子。軽いパニック障害で学校に行けない日があるとのことで来院。肩こりもひどいとのこと。肩が凝るのは僧帽筋の所で、肩井を押さえると強い圧痛があり仰向けで肩をすくめてもらうと凝り感が強くなります。

肩井の痛みは長野式では骨盤内の循環異常ということで陰陵泉を使います。脾経ですので、難経のお腹の脾領域であるおへそに手のひらを載せ肩井を押さえると「痛くない」。左右の肩井をおへそでゆるめて肩をすくめてもらうとラク。座ってもらうと「肩が軽い」とおっしゃられます。

50代前半の女性。インフルエンザになって薬を飲んだら調子悪く、右の後頭部から背中までの凝りがひどいとのこと。薬で肝臓に負担が来て右の背中が凝るのかなと思い、期門を押さえると気持ち悪いそうです。仰向けで右の手の平を背中に差し込み凝りを確認、難経の肝領域は左の下腹部、長野式ではちょうど左天枢と大巨になります。ここに手を載せもう一度背中の凝りを確認すると「痛くない」。だいたいD5からD10くらいまでこれで圧痛をとり、右のC2を押さえるとここも凝りが強いので引き続き同じように施術。すると「痛くない」座ってもらうとまだ少し右の背中が張るので、凸凹で調整すると「痛くない」。

40代後半の女性、以前はひどい左股関節痛でしたが最近の調子は良いとのこと。ですが仰向けで膝を立ててもらい右に傾けてもらうと大転子から左の仙骨にかけて少し痛むそうです。帯脈を緩めると大転子の痛みは無くなり、仙骨だけになります。ちょうど膀胱系になりますが、子午の関係を考えると肺と対応し、難経では右の下腹部、長野式では右の天枢大巨に当たります。そこに手の平を載せ、もう一度膝を右に倒すと「痛くない」。

50代前半女性、右の肘が痛むそうです。何もしなくてもずきずき痛み、動かしても痛みます。肩甲骨回りを緩めると自発痛が減ります。肘を私がぐっと握りますと痛みます。右ひじは肝臓と関係すると考えますので、左の天枢大巨に手のひらを当て、もう一度肘をぐっと握ると「痛みが減る」。しばらくその状態にしてもう一度握ると「痛くない」。もう一回うごかしてもらうとまだ三焦経に違和感を感じます。三焦経のお腹の対応点をもう疲れて考えられないので、薬指を捩じります。薬指の動きが整ったところで肘を曲げ伸ばししてもらうと「平気」とのこと。

痛む箇所とお腹のツボの関係を考えてそこに手のひらを置く、簡単腹部手のひらツボ療法。こんなんで変わるのか?と私自身がびっくりします。正確にツボを探す必要もありません。べつにぐっと押さえることもありません。ただ治療点かなと思われる所に手のひらを当てるだけです。

勿論上記の症例はいずれもその場の痛みが改善しただけで、治ったということではありません。ですがこんな軽い刺激で人様の身体が変わるなんて、あれだけツボに親しんできたつもりの私も本当に驚かされます。

ツボという小さな点だけで考えるだけでなく、経絡という考えから指で操作したり、領域という考えで手の平を置く、ツボという考えを利用することで私のように感覚が鈍い人間もある程度効果的な施術が出来るようになります。やはりツボは面白いですし、これを遺して下さった東洋医学の先達、そしてその教えを分かりやすく通訳・翻訳してくださった長野先生、松本先生には心より感謝であります。

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# by kaiondo102 | 2017-01-29 17:18 | セミナー 海外 通訳 | Trackback | Comments(2)

腹部から末端へ

仲間から野口晴哉先生が成人の治療には四肢から、子供は体幹でという言葉を教えてもらい、最近は内科的疾患の症状は長野式の火穴治療を応用しておりますが、あれだけこだわっていた腹部をそう簡単に捨てられず何とかできないか、と思っておりました。中極の頭痛や頸部痛に対する効果や関元のリウマチへの驚くべき効果を経験し、腹部を緩めるのではなく、そこを積極的に治療点として使っていくのはどうか、と思い立ち最近色々実験させていただいております。

ちなみに松本岐子先生は関元だけでなく中脘を使い全身の痛みをとったり、滑肉門で不安感の軽減、おへその周りアレルギーやトラウマの治療などで効果をあげております。先日もう一度松本先生の医道の日本の過去記事を読み返しておりますと、そのおへその治療、ネーブルの臨床が載っていましたので私もなんかやってみようと思いました。

40代女性、風邪を引いてたぶん抗生物質を処方されたせいか右の背中が痛いということで来院されました。いつも通り骨盤と背骨そ施術、帯脈を緩め肩甲骨回りも緩めます。どうですか?と聞くとやはり右の背中はうずく感じがするとのこと。期門を押さえると圧痛がありますので、薬の害から肝臓に負担が出て背中が痛いと思い、期門と子午関係にある小腸経の墓穴である関元に手を載せます。しばらく手を載せ、「どう?」と伺うと「痛みが減ってきた」とのこと。そのまま数十秒手を載せておくと「痛くない」。座っていただくとまだ右の背中が痛みます。そこで凸凹で操作すると「10が2になりました」ということで終わりにしました。

50代の女性ですが、昨年の乳がんになってしまった患者さん。今年の正月明けから再び来院し始めていただきました。右胸を切除しているため右の胸、脇の下、腕の内側にかけて攣る。右手を自由に動かすことが出来ません。今まで3回位来院してくださいましたが、胸の傷は陰陵泉でとっておりました。随分腕も動かしやすくなってきましたが、まだ押さえると傷は痛みます。ということで今回は陰陵泉の代わりに難行で脾経の腹部の
点であるといわれているおへその上に手を載せます。そしてもう一度傷を押さえると「痛くない」。終わって起き上がるときに右手を回しましたが、「今日はこの動きが痛くないです」とのこと。

50代女性、左の耳鳴りと耳が詰まる感じがするということで来院。来院時には耳鳴りは聞こえませんが、耳が詰まる感じはあるそうです。耳の前のツボ三点を耳は腎ですので難経の腎のポイントである下腹部、関元当たりに手を載せると耳の前のツボ三点の痛みは消えます。耳の詰まり感も無くなりました。

50代女性、左の中指のばね指。お正月明けに急に痛くなってきました。左の中指が曲げ伸ばし出来ません。中指の手のひら側の関節部を押さえると強い圧痛があります。日常生活でもここに何か当たるとずきっと痛むそうです。整形に行ったらもっと痛みがひどくなったら手のひらに痛みどめを打ちますよ、というのが怖くて私のところに来院。

中指の拳の手のひら側から押さえて圧痛を確認、中指は心包経ですのがダン中は女性ですので触りにくいため、心包経の裏の三焦経の墓穴である気海に手のひらを載せると圧痛が消えます。中指の圧痛を気海でとり、手のひらをグーパーしていただくとあれ、中指は伸びません。そこで誇張法で中指の捻じれをとりますと、あっスムーズに伸びますとのこと。

腹部手のひら療法、意外と効果があるのかもしれません。まだまだ実験し始めたばかりですが、今のところ面白いように変化が出ますし、なんといっても正確にツボを探す必要がありません。狙ったツボの上に手のひらを置くだけで十分です。これは楽です。

今後は難経の腹部点を使ったり、通常の墓穴をつかったりその表裏や子午を考えながら手を当てていき、もっと精度をあげていければと思っておりますが、ただ手のひらをお腹の上に載せるだけでこんなに効果があるなんてとても嬉しい発見をすることが出来ました。

一昨年と一昨々年は患者さんに恵まれ、症状の改善にあまり苦労しませんでした。ですがそうやって順調に時が一見過ぎていくと、患者さんを何とかして治そう、良くなってもらおう、という気合いが減り、それと同時に自分のやっていることに疑問も出て、仕事に対して情熱を少し失いかけました。しかし、昨年は自分の実力の未熟さを突き付けられ、また自分の不足分もはっきりしてきました。

そう考えると順調に物事が進んでいるのはある意味停滞、あるいは劣化しているのかもしれません。ここ数か月のように、何とかして治らない方を良くしてあげたいともがき始めるとふっと新しいことがひらめきます。またやる気も湧いてきます。

ようやく仕事がまた楽しくなってきました。ありがたいです。

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# by kaiondo102 | 2017-01-25 00:26 | 臨床雑記 | Trackback | Comments(4)

一期一会

前回昨年治らなかった症例として書かせていただいたリウマチの患者さん、今年に入って突然良い感じになってきました。

とにかく激しい膝の痛みからほとんど歩けなくなりましたので、私もリウマチの専門医に行くことをお勧めして本人もしぶしぶ(薬が極度に嫌いなため)行ったのが11月の終わり。そこでまず膝のステロイドを注射してもらい、血液検査をしました。ステロイドの注射を受けると少々ラクになりましたが、とはいえ10が8になった程度です。私の施術所に来ると壁があるところはそこで身体を支えながら歩きますが、壁がない所から治療ベッドまでは私の腕にしがみついてゆっくりと一歩一歩歩くという感じは昨年の夏前ころから変わりません。ステロイドの注射の効果は3週間とのことで12月の末にはまた10に痛みが戻っていきました。

リウマチの薬は血液検査の結果、数値がそんなに悪くないということで最少減の量を処方されたのが12月の末。とはいえその薬は痛みを止めるものでなく、組織破壊を防ぐものだそうなので、痛みの軽減は期待できず、その薬の効果がでるのも初めて処方されてから2か月とのことでした。

12月の最後の施術でも膝の調子は相変わらずでした。歩くと膝の中のほうでグズグズと音を立てて何かが潰れるような感じがするとずっとおっしゃられていました。私は膝の関節の中の軟骨が壊れているとずーっと思っておりましたが、年末だし改めて膝を触診してみることにしました。

もう一度膝を軽く動かしてみます。左右、回旋、前後と微妙に動かします。「痛みでます?」と伺うとどれも痛くないとのこと。「でもグズグズ音が鳴って痛いのは膝の中なんですよね?」と伺うと「違う」とのお答え。「じゃあどこなんですか?」と伺うと「膝のもっと前の方」とおっしゃります。もしかして膝蓋骨?と思い膝のお皿を押さえてみます。すると「痛い」。「普段膝がグズグズ痛いのと今押さえて痛いのは同じ場所?」と伺うと「そうだ」とのお答え。ご本人いわく膝のお皿の裏側が痛みの発現部位だそうです。「そんなの初めて聞いたよ~」と内心思いながら、もしかしていけるかもと思いました。

そこで膝のお皿を押さえながら一か所ずつ関元を押さえながら圧痛をとっていきました。ちなみに関元は長野式でリウマチの特効穴です。膝のお皿を押さえても裏側に痛みが無くなった時点で立っていただきます。すると今までで一番立ちやすいとのこと。

年明けに同じような形で3回施術しました。一回ごとにどんどん痛みがラクになっていきます。先日、今年3回目にいらしたときは私の支えなしにご自身で壁の無い所からベッドまで歩くことができました。いつもだったら朝起きたとき痛みで30分動けないそうですが、ここ一週間くらいは起きてもすぐ動けるそうですし、寝ているときに以前であれば寝返りをうつと痛みで目が覚めたそうですがそれも無くなったそうです。仰向けで寝ているときに膝の下にいつもタオルをかましていましたが、必要ありません。

この方の膝が激痛になりはじめてから私はずーっと大腿骨と脛骨の間が問題だとばかり思って、そこの施術をメインに行っていました。最初は左右、それがよくなったら捻じれの動きで痛みが出ておりましたが、やっているうちに痛みもなくなり膝の動きも良くなってきました。それでも痛みは増すばかりです。膝のお皿の滑りもチェックして操作を入れておりました。ですが痛みは悪化しつづけました。

どんどん悪化していく膝の痛みを前に正直為すすべ無しでした。ですが、年末にもう一度問診しなおすとご本人が痛い痛いといっている所は私が痛い所と思っていた場所ではなく、いままで見過ごしていた膝のお皿の裏側でした。そのお皿の裏側の痛みをとると今後どうなるかまだ分かりませんが、少なくとも今年に入ってから今までと比べると大幅に改善しております。薬の効果は前述しましたが関与はかなり少ないと考えられます。

今後痛みがどのように変化していくかは何ともいえません。ぜひこのまま良くなっていって欲しいと思います。あるいはまた悪化していくことも考えられます。とはいえ、問診の重要性と自身の思い込みに注意することを改めて思い知りました。膝のお皿の裏側の痛みが原因だったとは思いもしませんでしたし、誇張法でお皿の滑りをよくすればそれで十分だったと思っておりました。

この患者さんとはかれこれ10年のお付き合いになります。リウマチになってからも私を見捨てずに週に一回せっせと来院してくださっております。しかし自分の施術がどんどん通用しなくなり、私は自分の実力ではもう無理かもしれない、と正直諦めていたところもあります。何をやっても無理かもと思い込んでもおりました。何としても良くしたい、という以前のような気合いが無かったのも事実です。それが問診と触診をし直すことをきっかけに大きく改善し始めました。

定期的に来て下さる方は私のような治療院には非常にありがたいのにも関わらず、一回一回の施術が自分の中で馴れ合いになってしまっていたと深く反省させられました。年の初めに思い切りガツンとやられた気分であります。

一期一会という言葉を大切にこれから施術していきたい、と思った2017年の年明けであります。







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# by kaiondo102 | 2017-01-16 23:18 | 臨床雑記 | Trackback | Comments(2)