日々、治療雑感


均整法、長野式、オステオパシーを学び開業している一治療家の雑感
by kaiondo102
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根本治療で効果を出すために 7

以前、医道の日本で読んだのですが、私の中で根本治療の一つに当たる経絡治療の名人がそのセミナーである質問をされたそうです。その質問とは「脈が変われば治ったことになるのか?」というものでした。その先生の答えは「脈が変わったと感じても、実際に患者さんの症状がどう変化しているか伺わなければならない。脈の変化と症状の改善と常にすり合わせをしていかなければならない。脈が変わったから良くなった、ということでは決して無い。」的なことが書かれていて、非常に印象に残ったことがあります。私はこのすり合わせこそ根本治療を志す先生がやらなければならないことの一つでは、と思っています。

例えばクラシカルオステオパシーでは診断といえば施術前に身体の歪みと背骨と骨盤の歪みを診ます。そして全部ルーティンが終わったらもう一度その歪みを診直します。しかしそれだけで終わりなのです。患者さんの肩の痛みや腰の痛みがどう変化したか、まったく診ようとしません。「ほら、治療前と背骨が変わっただろう」で終わりです。そもそも太腿の外側を一発平手でバチン、と叩いただけで身体は変化しますので、その程度の背骨の変化で改善の方向にある、と簡単に考えて良いものなのか、いつも不思議でありました。ワーナム先生が背中だけみて「はい終わり」だったからといって、その生徒である現在の海外の講師陣が背中だけみて「はい終わり」というのはちょっとおかしいのではないでしょうか?素人だった人間が40年のキャリアのあるワーナム先生のやり方をそっくりそのまま真似しても、ワーナム先生レベルの情報量を患者さんから引き出し、そして治療効果も出せると思っているほうが間違いだと思います。そして二言目には「我々は症状を治すのではなく身体を治しているのだ」とのこと。あまりにも偉そうにそんなことを言われていたので、一度「その考え良く分からない、そもそも身体を治せれば症状なんてもっと簡単なはずでしょ?どうして治さないの?」と海外の講師に言ったことがありますが、無視されたのは言うまでもありません。ちなみに同じことをクリスキャンベル先生に言ったところ、「そういうことを良く言っている奴はいるな!!」と大笑いされました。

海外のクラシカルの講師たちにとって足りないのはこの経絡治療の先生がおっしゃる「すり合わせ」だったのではないでしょうか?彼らの診た背骨の変化と患者の感想、圧痛、可動域の変化、そして症状の変化をすり合わせる、という自分のプライドをずたずたにされる作業をすっ飛ばし、ちょっとした背骨の見映えの変化で治した気になってしまっていることがクラシカルのレベルを下げてしまった原因ではないでしょうか?だから目の肥えた日本の治療家にそっぽを向かれ、海外ではオステオパシーの中のマイナーな流派に留まっているのではないでしょうか?









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# by kaiondo102 | 2018-08-15 01:09 | 臨床雑記 | Trackback | Comments(2)

根本治療で効果を出すために 6

何故、長野式がこれだけ日本だけでなく世界に広がったのでしょうか?一つは松本先生の臨床力であります。これは前回も書きましたように、その臨床力ゆえにハーバードで教えることになったり、また公立精神病院での鬱治療のアドバイザーになっております。しかし臨床力だけではこれまで多くの支持は得られません。私が思いますに松本先生の最大の貢献は長野先生の治療法を一般人にも解りやすく翻訳してくださったことです。そして何を翻訳してくださったか、と言いますと診断方法であります。

長野先生は脈で患者さんを診断され、それに応じて処置を決めそれに応じたツボに鍼をします。しかし長野先生のやり方そのまま学ぼうとするとまず脈診という大きな障害が立ちはだかります。しかし脈診が出来るようになるには相当の時間と修練が必要となります。一説には脈診30年、という言葉もあるそうです。

松本先生はどうやらその脈診があまりお得意では無かったそうです。そこで脈診の代わりに編み出したのが腹診を始めとする身体あちこちの圧痛による診断です。それも患者さんに「ここは痛い?どうなの?痛くないの?」と聞いていく手法です。そしてその圧痛の部位と長野先生の脈診を対応させていかれました。

勿論、圧痛を捉えることは初学者には最初は難しいものがあります。指圧マッサージの経験があまり無い先生は、なかなか圧痛を押さえることが出来ませんが脈診ほど習得には時間がかかりません。多分指圧マッサージを真剣に3か月でもやりこめば誰でも圧痛は捉えることが出来るようになると思います。

その圧痛の部位がどこかによって東洋医学的、生理学的な解釈があり、その圧痛を解消するツボが決まります。例えば左下腹部に圧痛があれば、これは東洋医学的には瘀血の症状で、生理学的には腸間膜静脈の循環不全からくる肝臓の機能障害と長野式では解釈しますが、この圧痛を解消するツボは基本的には左の中封、尺沢になります。その2穴を上手くとらえれば左下腹部の圧痛はあっという間に解消し、患者さんも押さえられても痛くないだけでなく、お腹がすっきりし始める感じを体感できます。

私はこの診断方法の簡易化、一般人化というのが様々な流派を存続させていくために最も重要な条件ではないか、と思います。創始者が超名人でありながら後継者がいない治療法は多々あると思います。例えば沢田健先生の太極療法は、沢田先生の超能力的な手の感覚が診断基準になっていたため、治療体系は一応書籍では残っておりますが、実際に太極療法を受け継いでいる方はほとんどいらっしゃらないようです。また増永静人先生の経絡指圧も、その診断の要である経絡の虚の判断が自我を無くさないと出来ないという現代人離れしているものなので、現在ではほとんどそれで治療している先生は少ないようであります。これは野口整体もそうでありましょうし、脈診を中心としている漢方や鍼灸各派も後継者の育成は非常に苦労されているのではないかと思います。

半面、松本先生は多くの達人レベルの先生を育成されました。私が学んだ鶴崎先生もそうですし、私の中では日本で一番美しい女性鍼灸師もそうです。またカナダやアメリカにも松本先生の薫陶を受けられ活躍している先生は多数いらっしゃいます。さらにそれらの先生方が松本先生のやり方をさらに簡略化され、またそれを広めております。

そう考えますと私が通訳をさせていただいていたクラシカルオステオパシーが将来的に存続していくのは少なくとも日本においては非常に難しいのでは、と感じております。実際、海外講師でも高い臨床力を持つのは私が通訳した限り、クリスキャンベル先生お1人しかいません。あとの先生方は臨床家ではなく教える方が中心の先生ばかりでした。そうなりますと、クラシカルのほとんどの国際セミナーでは、大して臨床力の高くない海外講師が、臨床力の高い日本人の治療家を教える、という複雑な光景を私は通訳しながら目にしておりました。勿論、解りやすく教えていくことも大切です。しかしその場で「おおーっ」と講習生を唸らせる先生もいなければなりません。しかしそれが出来る唯一のキャンベル先生は教えるのがあまり上手ではありません。臨床家らしく講義もその資料もあまり他の教える中心の先生ほど作り込まれてもいません。非常に感覚的であり、昔の日本の武術家の教え方もこんな感じだったのかな、と彷彿させるものであります。そのせいでしょうか、海外ではキャンベル先生はあまり人気が無いような気がします。







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# by kaiondo102 | 2018-08-06 16:48 | 臨床雑記 | Trackback | Comments(0)

根本治療で効果を出すために 5

もしクラシカルや経絡治療、といった根本治療が達人の最後の業を形に顕したものだとしたら、私のような一般ピープルがそれを学んですぐに効果が出せるようになるわけはありません。江戸時代にある達人が刀を振り上げて振り下ろすだけ、という剣術の流派を作ったそうですが、結局その流派は廃れてしまったようですが、その達人がどのような事を学び、どのような失敗をして何を感じ考えてそこに至ったか知り、それを追体験しなければ、その達人の領域には近づくことも出来ないでしょう。では、どうやったらそういった達人の技を我々が使えるようになるのでしょうか?勿論、世の中にはかなり素質がある方もいらっしゃることは承知しておりますので、ここはあくまでも私レベルの全く素質の無い人に限定してのことです。

何度もこのブログで書かせていただきましたが、ここで参考になるのは長野式です。長野式とは鍼灸の治療方法であり、大分の長野潔先生といいう、それはまた名人の名人みたいな方がほぼ独力で作り上げた鍼灸の一流派であります。確か午前中と午後に長野先生は40人ずつもの患者さんを毎日治療され、非常に高い効果をあげていた、と聞きます。しかし長野先生の治療は誰にも知られることなく、そのままでは長野先生が亡くなれば長野式という体系も無くなってしまったのでは、ともいわれておりました。

ここで長野式が鍼灸師だけでなく、私のような手技療法家まで広まったのは一重に松本岐子先生の存在です。松本先生は鍼灸学校を卒業後すぐにアメリカに渡しましたが、治療の師匠を探して「医道の日本」という鍼灸の専門誌のバックナンバーを取り寄せて、自分の先生になる名人を探していたそうです。当時の「医道の日本」は今とは違い多くの臨床家たちが文章を寄稿しておりました。バックナンバーを読み漁った松本先生が目にしたのは長野潔先生の論文でした。東西医学の融合を目指し東洋医学の理論を西洋医学的に解釈するその長野先生の論文に松本先生は「この人だ」と閃いたそうで、すぐに大分の長野先生の治療院にお邪魔されたそうです。そこでは沢山の患者さんが目の前でどんどん治っていったそうです。それを見た松本先生は長野先生に師事されることを決意されました。

しかし松本先生の治療方法は長野先生のそれとはかなり違います。まず長野先生は診断においては脈診をされます。そして治療時間も長い人で20分であったそうです。かたや松本先生はお腹や背中、首、頭と全身押さえます。治療時間も私がセミナーに出ていたころは1時間から2時間かけていらっしゃいました。しかし、松本先生の治療効果はそれはまた驚くべきものであり、2000年くらいまでの松本先生の医道の日本の論文にはありとあらゆる病気を治された症例が書かれており、また医師の目の前で難病の患者を治すことによってハーバードの医学部で鍼灸を教えることになったり、また日本の公立精神病院でも鬱の鍼灸治療のアドバイザーとして参画されているほどであります。

松本先生はその治療効果の高さだけでなく、長野式を一般ピープルに分かりやすく通訳してくださいました。長野先生が感じる脈の変化を腹部を始めとする全身の圧痛に翻訳してくださることにより、脈が分からない治療家でも圧痛という診断ツールで治療を可能にしてくださいました。そういった事を学ぶことで、圧痛がリリース出来れば、すぐに一般ピープルでも効果を出せる治療形態を松本先生は作り上げました。その治療効果と学びやすくすぐに結果を出せる、ということで長野式はここ日本だけでなく、世界中に広まっております。





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# by kaiondo102 | 2018-07-30 01:47 | 臨床雑記 | Trackback | Comments(0)

根本治療で効果を出すために 4

まず考えなければいけないのは、その根本治療であり伝統武術が誰によって完成され、その創始者がどのレベルの時点で世間に広められていたか、ということではないでしょうか。

それを考えてみますと、基本的にはどの治療法も伝統武術も超天才あるいは達人の創始者が最終的に到達したレベルのものが一つの流派、として世間に提供されているような気がします。例えば沢田流の太極療法では、すでに沢田先生が円熟の境地に入り始めた頃の事が鍼灸真髄に書かれております。経絡治療も柳谷素霊先生をはじめとする昭和の達人がある意味完成した治療法と聞きます。クラシカルオステオパシーではワーナム先生が基本的にルーティンを中心とする手法を打ち立てたて、大学を創立しイギリスでクラシカルオステオパシーの協会を設立したのがちょうど1980年代、ワーナム先生が70歳前後のことでありました。キャンベル先生曰く、ワーナム先生の治療が一番脂がのっていたのは70代の頃だった、とおっしゃられておりましたので、ちょうど達人レベルに達した時にクラシカルオステオパシーをさらに積極的に世に広め、同時にその凄さに魅かれた沢山の生徒がワーナム先生の大学に入学したと考えられます。

どこの馬の骨とも分からない中途半端な治療家が教える治療法より、この人は達人、名人だ、と思える先生から是非学びたい、というのは当たり前のことであり、だからこそその先生たちの下に多くの弟子が集まり一つの流派が形成されたのは当然でありましょう。

しかし、ここで問題なのはその創始者がすでに達人になってしまっている、ということです。私はワーナム先生の人生についてそこまで詳しくはありませんが、聞くところによりますとワーナム先生は30歳頃にオステオパシーをアメリカからイギリスにもってきたリトルジョンから学んだのがその始まりです。その他にもジョセリンプロ―ビーやら、エドワードホール、ダグラスマンなどイギリスのオステオパシーの創成期を担った先生から学んでいた、と聞いたことがあります。そしてワーナム先生は始めから達人ではなかったでしょう。いくらATスティルから直接オステオパシーを学んだリトルジョンに教えられたとしても、始めの何十年かはやはり患者さんを治せずに悩んだこともあるでしょうし、リトルジョン以外にも上述の先生に教えを乞うたこともあったでしょう。リトルジョンから学んだテクニックだけでなく、そういった先生から学んだ技法を色々試したこともあるでしょうし、もしかしたらオステオパシー以外にも目を向けた経験もあったかもしれません。

様々な先生に教えを乞い、沢山の患者さんに向き合い、治せたり治せなかった経験を40年した後に完成したのが現在のクラシカルオステオパシーであります。つまり今、我々が学んでいるクラシカルオステオパシーというのはワーナム先生が最終的に到達した境地の、達人、名人の業であり、あのシンプルなルーティンはワーナム先生の40年以上にも渡る学びの歴史と治療の経験の積み重ねと取捨選択の後の、「これだけやれば人は治る」というエッセンスが凝縮された最後の一滴では無いのでしょうか?

そんな凄いものを私のような才能も経験も何もない人間が学んでも、その有難さが分かることもありませんし、本来クラシカルの持つ凄さを体現出来ないのも当たり前です。いくら秘伝の武術の技を学んでも、力の強い人に掴まれたらまるで動けなくなってしまい何も出来ないのと同じであります。







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# by kaiondo102 | 2018-07-17 00:55 | 臨床雑記 | Trackback | Comments(0)

根本治療で効果を出すために 3

今から約40年前、なんとか強い男になりたかった私は中学でボクシング部に入りましたが、強くなるには痛くて苦しい思いをしなければならないということを体感し、松田隆智という中国武術研究家の本と出会いました。以前も書きましたがその本には、中国拳法や日本の古流武術を学び、正しい型を修練していけば、どんな相手にも勝てるようになる。才能や筋力や体力が無くても負けない、ということが書いてありました。一方、ボクシングやレスリング、空手や剣道といった現代格闘技は、才能のある一部の人間しか強くなれない、しかしどんなに現代格闘技で一流になろうとも、伝統武術を修めている人間には勝てない、的な事も書いてありました。この松田先生の本を読んで、私はさらに中二病をこじらせてしまうことになり、ようやく40歳すぎて中二病を克服することが出来ました。

秘伝の型を学べば強くなれるか、といいますと現実はそうは簡単にいきません。インターネットの発達で伝統武術家が現代格闘技の選手たちに無残に敗れていくという動画を良く目にするようになりました。勿論伝統武術家のレベル云々はあると思いますが、かといっても現代格闘技の選手もきっとトップレベルではないでしょう。それでも伝統武術家は何もできず、一方的にボッコボコにされます。どうやらいくら秘伝の型を学んで、合気を習得していたとしいても、現代格闘技に対応した痛くて苦しい思いで練習をしなければ素人同然で手も足も出ないようであります。

なんとなく、私が通訳をさせていただいていたクラシカルオステオパシーもこの伝統武術に近い臭いを通訳を始めたことから感じておりました。確かに講義を聞くと素晴らしいです。スティルの時代から続く正しいオステオパシーであり、リトルジョンがそのオステオパシーを生理学的に解釈したため、非常に洗練されたものになっている。一つ一つの技法は常に生理学的な効果が発揮されるように出来ている。人体と重力の関係性も深く研究している、etc。とにかくその理論は通訳をしながらも心が震えるものがあり、実際に受講生と話しをすると、このクラシカルで何でも治せるような気分になる、という話を良く聞いたものです。

色々批判めいたことを書いておりますが、クラシカルから全く縁が無くなった今でも私はクラシカルは大好きです。流れるようなルーティン、長てこ技法、身体の反応の生理学的解釈などをクラシカルから通訳をしながら深く学ばせていただきました。しかし私もイギリスの講師がやっているようなやり方で治療効果を出せる感じはしませんし、それは多く受講生もそう感じ、その答えを見いだすことが出来なかったからこれまで沢山辞めていったのでしょう。実際、2トップが患者さんを治療するところを拝見しても、正直治ってるのか治っていないのか私の目には分からないものでした。

このクラシカルオステオパシーだけでなく、他の根本治療といわれる治療法各派、そして伝統武術は本来は素晴らしいものであります。しかしそれぞれどのようにしてその真髄を実際に治療で、闘いで実現出来るようになるか、という非常に難しい問題を抱えているような気が私はします。







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# by kaiondo102 | 2018-07-09 01:13 | 臨床雑記 | Trackback | Comments(2)

根本治療で効果を出すために 2

私が言う根本治療とは、東洋医学でいう本治法を中心に組み立てられた治療法の事を言います。それぞれ治療法には必ず哲学が存在します。人の病を作り出す根源とは何か、それはどのように発現するか、それをどうやって治療するのか、という一連の流れを持つ哲学というがあるように思います。

例えば私の中で根本治療の代表は鍼灸の経絡治療であり沢田健先生の太極療法です。病を作りだす根源は五臓六腑の気の乱れであり、それは脈を始めとして腹や舌、体表の経絡の変動として発現し、それらの変動を鍼と灸という道具を使って治療します。

カイロのある流派は「内的知性」が延髄に宿り身体中に流れるが、それが上部頸椎の変位によって流れが妨げられる事によって健康が障害されるため、その頸椎の変位を治療します。

均整は厳密には本治法とは言えませんが、心身の不調は身体の歪みとして発現し、その歪みは十二種に分かれる。それぞれの歪みを整え平衡体を作ることで健康になる、と考え十二種体型の治療が基本となります。

クラシカルオステオパシーは、人体の関節を始めとする全ての構造体はそれ自体及びそれらと隣接あるいは関係する構造体との間に自由な動きが存在するが、その自由な動きが妨げられることによって解剖学的な異常から生理学的な異常が作り出され、健康を害する。その構造体の自由な動きを回復させる治療(ルーティン)によって、生理学的な異常を克服する、ということになるでしょうか。(もしここまでで何か違ったらご指摘ください)

つまりそれぞれの流派が病の根源である、である原因を治療すれば、患者の身体に現れている症状は結果であるため、その症状は自然と改善する、というのが本治法的治療法に共通する概念ではないでしょうか。

根源にアプローチできれば何でも治せるなんて、なんて素晴らしいのでしょうか!!これを聞くだけで私のような中2病をこじらせた人間はわくわくします。まるで以前憧れていた、中国拳法の世界であり、古流武術(合気)の世界であります。人と殴りあい、取っ組み合い、苦しく痛い思いをしなくても、秘伝の型さえ学んで気の力さえ大きくなればどんなものにも負けない、という世界観と非常に類似しているように思います。臆病で怠け者の私のロマンを掻き立てます。

ですが、現実はそうは問屋が卸してくれません。

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# by kaiondo102 | 2018-07-03 01:08 | 臨床雑記 | Trackback | Comments(2)

根本治療で効果を出すために

以前、根本治療と局所治療について書こうと思いながら、途中で断念したことがあります。当時はクラシカルオステパシーと関わりを持ち、クリスキャンベル先生という治せてかつ尊敬できる先生と出会い、先生のおっしゃるバイタルフォースの治療というものを体現しようと四苦八苦しておりました。


しかし今年に入ってからクラシカルとの縁も切れ始め、通訳の仕事も無くなったことから自分自身の治療に向き合うこととなりました。確かにクラシカルの先生たちと縁遠くなったのは寂しいものですが、本業をもう一度見直すことが出来たのは非常に有難いことでもありました。


そこでまた考え始めたのが根本治療のみで治療していくことの難しさであります。私はクラシカルオステオパシーと約8年お付き合いをさせていただきました。その間、沢山の先生がクラシカルの講習会に参加されました。ですが私もそうでありましたが、このクラシカルだけで果たして日々の患者さんの訴えに対応出来るのか、その答えを見出せずクラシカルから離れる先生も多いのが事実だと思います。


実際、クラシカルだけで、それも自費で治療院を経営している先生は私の知る限りでも数人しかおりません。やはりこの根本治療だけで患者さんを納得させるのは、非常に難しい現状があるのではないでしょうか。


海外でも状況は似たようなものであると思います。数年前に根本治療を基本とするオステオパシーのワークショップに通訳として参加したことがあります。その流派の2トップのオステオパスが実際に患者さんを治療し、その治療についてあれこれ先生が解説、質疑応答という非常に実戦的なものでした。普段のワークショップではデモ治療的な物しか拝見することが出来ませんので、非常にわくわくして参加させていただきました。


しかし私にとっては非常にがっかりするものでありました。もちろん患者さんの中には慢性の難病の方もいらっしゃいましたし、会場もその先生方の治療院ではありません。ですからその場ですぐに結果が出ることばかりでは無い、ということは重々承知しております。しかし、筋骨格系の若い患者さんに対しても少なくともその場では全く結果は出なかった治療ばかりでした。


まず驚かされたのは、身体の痛みを訴える患者さんに、どの辺が痛むのか、どういう動作をすると痛むのか、治療後はその痛みが変化したのか全くお二人の先生とも患者さんに聞かないことでした。背骨を診るだけで患者さんに私のようにアレコレ聞かなくても診断できるのかもしれません。しかし患者さんに伺うことでしか自分の施術の効果を測ることの出来ない私には、その先生方の治療が効果があったのかどうか判断することは非常に難しいものでした。


一人の大先生が30代の黒人女性の腰痛を治療しました。その流派の若い先生がすでに5回治療し随分改善してきたそうです。ですが大先生の治療が終わると、治療前はスムーズに動いていたその女性は、顔をしかめ、腰に手を当てながら痛そうにゆっくりとした動作で帰っていかれました。先生曰く、腰椎の345が狭かったので最後の技法で離開させた、とのこと。どうやらその技法は少々その女性にはきつく、痛みが出てきてしまったように私は見えました。


また、もうお1人の大先生は20代後半の大学院生だという女性を治療しました。訴えは右の肩凝りと右の背中の凝り。パッと見る限り右肩が左肩に比べ大きく下がっておりました。肝臓かなと私は見当をつけておりましたが、その先生曰く「彼女のようにバレエをやっている柔軟性の高い患者さんは良くしてあげるのは非常に難しい」とのこと。それを聞いて私は内心「なんだそれ!」と思ってしまいました。実際、治療後は「あなたは自分自身の身体の使い方をしっかりマスターした方がよい、アレキサンダーテクニックを勧める」とおっしゃっておりました。納得のいかなかった私はその先生に「右肩が落ちているから肝臓の不調からの右肩と背中のトラブルとは考えられないのか?」と質問したところ、「肝臓の不調に右肩の症状が関係するという論文は無い」とおっしゃられました。私がそれより以前にその流派の講習会で右肩の痛みは肝臓から来ることもある、と通訳したことがありますが、もしかしたら私は英語が本当は聞き取れていなかったのかもしれません。


ちなみにこの大先生のワークショップにそれより数年前に参加したことがありますが、急性腰痛の女性が車いすで運ばれ、全く痛みが引くことなくそのまま治療後は車いすで帰ったのを拝見したこともありました。


勿論、その場では症状の変化は無かったのかもしれませんが、翌日大きく改善していることも考えられますので、その一回の治療だけでがっかりするのは私がまだ未熟な証拠でもあります。もしかしたら普段は難病の患者さんばかり治療されているので、このようなマイナーな筋骨格系の問題はあまり重要視されていないのかもしれません。実際、その急性腰痛に対応されなかった先生は、オステオパシーは本来は病気を治すものだが、現在は筋骨格系の問題しか扱えない、カイロや理学療法と同じレベルのものになってしまった!!とオステオパシー大学の学生さんを鼓舞されていた講義の動画を翻訳したことがあります。きっと普段は病気の患者さんを治療することでオステオパシーの本当の姿を体現されているのでしょう


そういった難しい病気を治すことが本来の姿ではありますでしょうが、私たちのような日本の施術家にとってまず大事な事は肩凝り腰痛、膝の痛みを良くしてあげることです。それが出来なくては、少なくとも私の経験では難しい病気の施術をお願いされることは無いと思います。


そして考えなければならないのは、何故この根本治療的な施術だけでは、そういった肩こり腰痛に対応するのは難しいか、ということであると思います。


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# by kaiondo102 | 2018-06-25 00:27 | Trackback | Comments(4)

中極の効果

中極というツボが恥骨のちょうど真上にあります。膀胱経の腹部にある募穴であり、鍼灸真髄には沢田先生は中極にお灸をすると頭がすっきりすると書いてあります。均整では頭に刺し込むような頭痛は子宮から来る、と確か観歪法の教科書に書いてあった気がするので、私はこの中極を首から後頭部そして頭頂部にかけての凝りや痛み、頭痛に使っておりました。

この中極に出会ったのは開業してしばらくのころ。キャバクラにお勤めだ、という物凄い綺麗な女の子が定期的に来てくれていたことがあります。そして何故この中極を押さえたのか覚えておりませんが、中極を押さえて軽くポンピングをかけていると、その女の子が足の骨間が緩んで開いていく感じがする、と気持ちよさそうな顔とお声でおっしゃられていたのがずっと記憶に残っておりました。

そんなことをここ数年思い出し、中極を頭部の症状だけでなく下半身の症状に使ってみるとあら不思議、色々な症状に効果があることが分かりました。

70代の女性、右足甲の痛み。こういうのは足背神経痛というのでしょうか?足の甲のちょうど真ん中あたりが全体的にビリビリして立つのもつらい時があるそうです。私がそこをぐっと握ってみると「ぎゃっ」となります。

全身を調整後、一度足背の痛みを確認すると「ぎゃっ」。この方は何かあると頭が痛くなり、また子宮脱もありますので、中極をポンピングすることにしてみました。中極を押さえると痛みます。そこで喉元にある旋機というツボを押えると中極の痛みが消えますので、それから中極をポンピングします。イメージ的には刺激が右足の甲に流れるようにポンピングをします。しばらくポンピングして足の甲を握ると先ほどより痛みが軽減しているそうです。もうしばらくポンピングするとさらに足の甲の痛みが無くなりました。それから数回施術すると足の甲は痛くなくなりました。

右股関節の痛みを訴える50代の女性。この方は交感神経の緊張が強く、脊柱起立筋を触るととても嫌な感じがするそうです。この方も全身を調整して右股関節を動かしてもらいました。膝を立てて外に開いても内側に閉じても大転子のあたりが痛みます。特に開いた時の方が痛いそうです。そこでしばらく中極をポンピング。すると内側に倒す事が楽になり、そしてさらにポンピングを続けていると開くのも楽になりました。

その他、足首の捻挫、膝の痛み、ふくらはぎの凝り、などなど下半身の症状に非常に効果がありました。どうやらこの中極は膀胱経にだけ効果があるのではなく、使いようによっては全身のかなりの所に効果があるようです。

先人が遺してくれたこのツボですが、本当にありがたいものです。それこそありとあらゆる症状に効果があります。そう考えますと今から40何年も前に自宅近くの鍼灸院の看板に興味をそそられ、30年前に実際に鍼灸の治療を受け、そして一時期は鍼灸師を目指しながらも、ツボも骨格も全て網羅した均整を学び、今の自分の施術の基本とすることのできたこのご縁は本当にありがたいものがあります。

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# by kaiondo102 | 2018-06-18 20:08 | 経穴 | Trackback | Comments(0)

裏攻め

私の個人的な考え方でありますが、誇張法が非常に効果的なのは5gというよわーい圧を使うことで身体が無意識の抵抗が起こらず、それによって椎骨が動いたり、その周辺組織が緩むのでは、とずっと思っております。ということは肝心なのは無意識の抵抗を施術で患者さんの身体に起こさない、ということが種々の技法において重要になるのかもしれません。

痛みというのは筋肉や靭帯、筋膜といった軟部組織の緊張により起きている、と考えられます。ですから腰が痛い人に前屈や後屈などその緊張している筋肉を引き延ばす動きをすると痛みが出ます。また緊張部位を上からぐっと押さえると痛みを患者さんは感じます。もちろん自発痛がある場合もありますが、私が診る痛みを訴える患者さんの多くは安静時には自発痛を訴えません。腰痛であれば痛みが出るのは何かの動作をしている時であり、安静にしていると痛みを感じることはありません(もちろんその姿位によります)。ですが、身体はいくら安静にしていても必ず動きが存在します。その動きの一つは呼吸の動きです。

呼吸をすることによって身体は必ず動きます。息を吸えば身体が膨らみ、吐けば縮みます。ですが呼吸をすることで痛みを感じる事が少ないのは何故なのでしょうか(もちろん息をすると痛いという方もいらっしゃいます)?

その一つは呼吸というのはある意味無意識の運動であります。この無意識の動きには身体は反応しにくいのかもしれません。また身体は外側からの圧迫には過敏に反応しますが、呼吸のような身体の内側からの動きには警戒感が少なく抵抗をしにくい、とも考えられます。ということは内側から何らかの動きが与えられるような操作をすれば、緊張部位はあまり抵抗せずに緩んでくれるのではないでしょうか。

といっても身体の中に手を突っ込んで腰の筋肉を内側から押さえることは出来ません。ということで考えたのが、例えば背中や腰が痛い場合には、その反対側のお腹から軽い圧迫を与えてみたらどうだろう、ということでやってみました。

左の背中から腕の外側にかけての痛みを訴える50代男性。うつ伏せで左の胸椎4~6の2側を押えると「ぎゃっ」とベッドから飛び上がります。これぞ本物のジャンプサイン。いつも通り骨盤と背骨を整えるとジャンプサインは無くなります。ぐっと押さえてみても痛みを訴えません。

仰向けになっていただきます。左の肩甲骨から手をそこに差し込み押さえてみるとまだ痛みます。そこで胸骨に手を当て、その痛い所に向けて軽く反対側から圧迫をかけます。イメージとしては差し込んでいる手が当たっている筋肉の裏側で胸骨からの圧迫の圧が止まる感じです。しばらくその状態でいると背中の緊張が解けていきます。

起き上がっていただくと左の背中は来た時より随分楽になりました。ですがまだ痛みは残っていますので、凸凹をやるとさらに楽になって終わりました。

40代女性、ぎっくり腰。前屈も後屈もダメ。骨盤と背骨を施術、そうすると前屈は楽になりますが後屈は変化なし。仰向けで帯脈、肩甲骨頸椎、頭を操作起き上がってもらうと起き上がれません。左の仙腸関節の所が痛みます。そこで手を差し込んでPSISに指をひっかけ5g牽引、下腹部に手を当て仙骨を裏側から下方(ベッドの面の方)へ動くように圧迫。なんとなくフワッとしたら手を離し起き上がっていただくと、さっきより随分らくです。後屈も随分出来るようになりました。凸凹と腰椎の誇張法をやるとさらに楽になりました。

まだまだこの裏筋攻めは研究の余地がありますが、効果がありそうな感じがします。いかに身体の無意識の抵抗を起こさせず身体を緩めるか、色々な方法が考えられそうです。







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# by kaiondo102 | 2018-05-28 01:16 | 臨床雑記 | Trackback | Comments(0)

交感神経の抑制

ここしばらく交感神経をどうやって効率的に抑制するか考えておりました。そんな時、頻脈を訴える50代の患者さんからヒントをいただきました。

この方とは十年弱のお付き合いになりますが、始めはアトピーで来院されました。アトピーは5~6年で落ち着きましたが、ご家庭でのストレスが物凄く、色々な体調不良に悩まされておりました。特にその中で今まで私がなかなか手に負えなかったのが頻脈です。何かあると脈拍が100を超え、しばらくその状態でとても苦しいそうです。ご本人曰く「心臓がバタバタする」とおっしゃいます。病院にも行きましたが、特に何か病気があるということではありませんでした。

そうなれば東洋医学の出番だろう、と思い色々やりましたが今一つでした。横隔膜、胸骨上、肋間、肩甲骨回り、天宗と心臓に関係するところは色々緩めてみましたが、どうも効果は芳しくありません。

先日も施術中に「心臓がバタバタし始めました」と急におっしゃられます。何をやっても今一つバタバタは止まりません。そこでその方が一言「心臓がバタバタする前に必ず喉がキューっとするんですよね」とのこと。確かにこの方はいつも喉が弱く、特に冬になると喉が痛くなります。

そこで一度唾を飲み込んでもらいました。すると飲み込みずらい感じがするとのこと。土踏まずにある然谷というツボをここ数年の喉の痛みに使っておりますので、とりあえずこの然谷を緩めることにしてみました。

正確な然谷の場所はよくわかりませんので、私は土踏まずを3か所に分け、一か所ずつ緩めます。一か所ずつ緩める度に唾を飲み込んでもらいますと少しずつ楽になります。それと同時に心臓の拍動も少しずつ落ち着いてくるそうです。3か所全部緩めると喉の飲み込みは楽になり、心臓も落ち着いてくれました。

松本先生の教科書には確か然谷は交感神経を抑制すると書いてあった気がします。バセドー病には必須の経穴とのことです。また腎経は吸気に関係します。呼吸筋の腹斜筋は腎経のツボで緩みますし、息が吸えない時は太谿を押さえると吸気が楽になります。深い呼吸が出来るようになる、ということは交感神経を抑制に繋がります。

他にも心臓の調子が今一つで胸が苦しい方に然谷を緩めましたが、呼吸が深くなり胸が開く感じがするそうです。

改めて自分の持っている技術を見つめなおす重要性と、やはり臨床は患者さんから学ぶものだということをこの然谷から実感させられました。

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# by kaiondo102 | 2018-05-14 19:24 | 経穴 | Trackback | Comments(2)