先日来られたのはテニスの練習中にボールに乗り上げて右の足首をねんざしてしまったという50代の女性。やっちゃってから2週間も経つのにほとんど痛みが改善しないということでいらっしゃいました。
歩いてもらうとちゃんと歩けずびっこを引いているような感じで施術所内を歩かれます。仰向けになってもらうと底屈、背屈両方とも痛みがあるそうです。でも底屈の方が痛いとのこと。そこで施術をはじめます。
うつ伏せになってもらい誇張法で骨盤、背骨を整えます。仰向けになっていただいて足首を動かしてもらうと背屈はもう痛くないとのこと。そこで鼠経部、骨盤隔膜、横隔膜、左の斜角筋をゆるめ足を操作します。股関節を調整、ヒ骨の両端を調整、解ケイの圧痛をとります。距腿関節を調整し距踵関節のテストをしてみると「ぎゃっ」と痛がります。そこで誇張法の距踵関節の調整をするもどうも痛がります。誇張法では足を外反させそのまま踵とあわせ牽引します。しかし、この方は軽くでも牽引すると痛がります。どんなに微妙に牽引しても痛みがなくなることなく、とりあえずこの日はこのままで終了としてまた翌週にもう一度来ていただきました。
次に来られた時は足首は10段階評価で2ぐらいまで痛みが減っているとのこと。そこで前回と同じ形で調整をして、もう一度距踵関節にトライしました。しかしどんなに軽く牽引しても痛みが出るとのこと。こまったなぁと思いふと、そうだ軸圧をかけてみようと思い足の形はそのままで牽引ではなく今度は体幹に向けて圧迫をかけてみました。しばらく圧迫し軽く牽引すると痛みなく引っ張れます。もう一度圧迫、牽引、圧迫、牽引を数回繰り返すとかなり牽引を強くしても痛みがでなくなりました。立ってもらうと痛みがなくなったそうです。
誇張法の距踵関節の調整は牽引ですので今まで足首の痛みを訴える方にこの操作を用いても牽引する段階で痛みが出るのでいつも悩んでいました。しかし、ふと圧迫をかけてみるとあら不思議、あれほど引っ張ると痛みが出ていたのにあっという間に出なくなりました。
操体法の橋本先生は常々押してダメなら引っ張ってみな、とおっしゃっていたそうです。なるほどその通りと思った一症例でもあり、やはり関節は軸圧が効果があるのかなと思わされた症例でありました。