2週間に一度健康管理でこられる患者さんが最近、痔が気になるとのこと。
痔といえば長野式で考えると、季節は春ということから肝臓のうっ血→門脈のうっ血→直腸静脈のうっ血→痔の発症という感じになるのでしょうか。松本先生の著書でも痔の反応は左の下腹部のオ血として出、孔最でその圧痛をとるとありました。
また、靭帯性関節ストレインの本には骨盤隔膜のトラブルの一つに痔があげられていました。
そこで骨盤隔膜をゆるめることで痔がどう変わるか試してみました。
いつも通りクラシカルで全体を調整、骨盤と脊柱を誇張法で調整します。特に骨盤を丁寧に調整すると腹部の圧痛が消失あるいは大幅に軽減することが多いので骨盤は少し時間をかけます。「いま、お尻の感じどうですか?」とすこし肛門に力をいれてもらいます。「まだ、違和感はあります」とのこと。そこで痔はお尻のどちら側か聞くと、右とのこと。そこで右の骨盤隔膜の調整をしてみました。
ぐっと指先で坐骨から指をすべらせ骨盤隔膜を押すと結構痛みがあるとのこと。骨盤隔膜の痛みをとるには通常ですと胆経の風市か野口整体のひえのポイントを押さえますが、今回は痔の特効穴である孔最を使ってみました。右の腕の内側の肺経のラインを肘下のあたりからおさえていくとぽこっと虚している感じの場所があります。押さえると気持ちが良いとのこと。そこでそこを孔最として押さえながら骨盤隔膜をもう一度押さえてみました。すると痛みがなくなるだけでなくとても気持ちが良く、痔の患部に効いている感じがするとのこと。そこでしばらく孔最と隔膜を押さえていると「気持ち良い感じがなくなった」とのことなので押さえるのをやめました。
その次に来られたときはだいぶん痔の調子が良いそうなので同じ施術をもう一度行いました。そして今日来られた時に痔のことを伺うと最近は全然問題なしとのことでした。
その人の治療をしながらふと、開業したてのころ腰痛を訴えこられていた方がその日は痔が痛くてしょうがないと困っていて、私も何も出来なかったことを思い出しました。今年で開業して9年が過ぎようとしています。長い時間をかけ数多くの失敗とくやしさを経験して初めて、治療という技術は上達していくものなのでしょうか。